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低身長の子供のメンタルケア


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低身長は子供の心理面に影響する

ここでは、低身長に悩んでいるこどもたちや保護者たちのメンタルケアについて解説します。

「低身長」にはあたらない正常な範囲の身長のこどもたちであっても、精神的に問題を抱えているケースは少なくありません。成長ホルモン治療を受けたくても、費用の関係から治療を受けられない場合もあります。

「身長が低い」ことをどのように受け止めて向き合っていくのか。これはなかなか難しい問題です。

低身長児においては、未熟な社会性、低い自己評価、他者への攻撃性、ひきこもり等の心理社会的問題が多く報告されています。成長ホルモンの分泌量不足が影響しているとの報告もありますが、多くは低身長自体が心理面に影響していると考えられています。

 

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医療機関を利用する人は心理的問題を抱えている

医療機関を受診した低身長児と医療機関を受診しない低身長児とは、それぞれが抱えている悩みは同じなのでしょうか。

低身長を気にして受診するこどもたちの中には、低身長の定義に入らなくても低身長と思っていたり、他人からそう思われていると感じているこどもが多数います。

しかし逆に、低身長でも身長のことは気にせず、学校生活を楽しんでいて医療機関を受診しない低身長児もたくさんいます。

ある報告では、医療機関を受診したことのある低身長児は、未熟な社会性、他者への攻撃性が強く認められたのに対し、医療機関を受診したことのない低身長児は、正常小児と差がなかったと報告されています。

このことは、低身長の原因となった病態が、こどもたちの心理社会的特性に等しく影響を与えるというよりも、背が低いことによる精神的ストレスや仲間からいじめられたなど社会的な問題がおこったために、悩みが深刻化して医療機関を受診したと考えられます。または、親が
こどもたち以上に身長のことを気にして受診したとも考えられます。

どちらにせよ、医療機関を受診する低身長児や親は、受診しない低身長児と親よりも、心理社会的問題を抱えていると考えられます。

ポイント

低身長児においては、未熟な社会性、低い自己評価、他者への攻撃性、ひきこもり等の心理社会的問題が多く報告されています。特に医療機関を受診した低身長児には、親も子も心理社会的問題を抱えていることが多いのです。

低身長児は自分の考えを表現できない

低身長児の心理的病態や社会的病態をとらえることは、非常に困難です。特に低年齢のこどもの場合は、自分の感情を正確に表現することができないので、親からの評価になってしまいます。

したがって医師も、こどもではなく、親の心理的病態や社会的病態をみていることになります。こうしたいろいろな制約はあるにしても、いろいろな方法で、低身長児の心理社会的状態を評価した成績が報告されています。

最近よく使われているのがChild Behavior Checjkist(CBCL:こどもの行動チェックリスト)です。もともとアメリカで開発されたものですが、日本語訳されて、多数のこどもたちで
評価され、日本人用に標準化されています。

下の表に示されているような項目のこどもの行動評価を、親が「0:あてはまらない」「1:ややまたはときどきあてはまる」「2:よくあてはまる」の3段階で答えます。

これらの質問は、ひきこもり尺度、身体的訴え尺度、不安/抑うつ尺度、社会性の問題尺度、注意の問題尺度、非行的行動尺度、攻撃的行動尺度の因子に分けられており、それぞれの尺度の評価ができるようになっています。

日本の成績では、127名の成長ホルモン分泌不全性低身長症小児と、116名の特発性低身長小児において、このCBCLを行ったところ、両群とも健常小児に比べてQOL(クオリティオブライフ、生活の質と訳される)が低いという結果がでました。

成長ホルモン分泌不全性低身長症では、不安/抑うつ、社会性の問題、注意の問題が、健常小児に比べて問題があるという結果が出ました。

特発性低身長ではそれら3つの尺度に加えてひきこもり、攻撃的行動にも問題がありました。

病気とみなされる成長ホルモン分泌不全性低身長症よりも、医学的には病気とはみなされない特発性低身長小児のほうが、QOLが低い傾向にありました。

これは、成長ホルモン分泌不全性低身長症は、健康保険の適用対象なので、治療されている場合が多く、心理的に改善されているのかもしれません。特発性低身長は健康保険が適用さず、治療を受けたくても受けることができないため、精神的なストレスが高じている可能性があります。

ポイント

低身長児の心理的病態や社会的病態を正確に把握するのは難しい。CBCL(こどもの行動チェックリスト)を用いた調査では、健常児に比べると低身長児のQOLが低いことがわかっています。

成長ホルモン治療でQOLを良くする

アメリカでは、109名の成長ホルモン分泌不全性低身長症と86名の特発性低身長児にたいし、3年間の成長ホルモン治療による心理的問題に対する効果をIQやChild Behavior Checjkist(CBCL:こどもの行動チェックリスト)によって評価しています。

IQは成長ホルモン分泌不全性低身長症も特発性低身長もほぽ標準で、成長ホルモン治療によっても変化がありませんでした。

しかしCBCLによる問題行動のスコアは、両群とも標準と比較して有意に高く、すなわちQOLが低く、3年のGH治療(成長ホルモン治療)により両群とも有意に改善し、成長ホルモン分泌不全性低身長症の方がより大きく改善していました。

特に成長ホルモン分泌不全性低身長症において有意に改善した項目は、ひきこもり、身体的訴え、不安/抑うつの内向尺度、および注意力、社会性の問題、思考の問題でした。日本においても同様な調査が進められており、アメリカと同じような結果がでつつあります。

これらの報告は、親の目から評価したQOLでしたが、小学校中学年以上のこどもには、自分で評価するYouth Self Report(YSR)も開発され、日本人用に標準化されて実際に用いら
れています。

その結果、特発性低身長児も成長ホルモン分泌不全性低身長症児も、QOLが、正常小児より低いことが明らかになりました。

またその後の経過観察で、無治療の特発性低身長児に比較して、成長ホルモン治療をうけた成長ホルモン分泌不全性低身長症児は、QOLが大きく改善しており、その改善度が、身長SDスコアの改善度と関連することが明らかになりました。

YSRと違ってCBCLは、親が評価しているという点で本当のこどものQOLを表していないという批判もあります。しかし、親も同しように心理社会的病態を共有していて、こども
だけでなく親も治療していると考えることもできるでしょう。

SGA性低身長症での成長ホルモン治療の影響

2年間の成長ホルモン治療をうけたSGA性低身長症の小児44人と親50人がアンケートに答えた集計結果をご紹介します。

低用量治療は、1年目は0.167mg/kg/週、2年囗は0.33mg/kg/週に増量しました。中等量治療は2年間0.33mg/kg/週、高用量は2年間0.67mg/kg/週を投与しました。身長の改善の程度は、やはり高用量、中等量、低用量の順でした。

2年間の治療後に、「成長ホルモン治療を受けてよかったですか?」という質問に対して、低用量で伸びがよくなかったこどもを除いて、ほとんどのこどもも親も、「成長ホルモン治療を受けて良かった」と答えています。

また治療2年後の身長についても、伸びが悪かった低用量のこどもは、半分以上が満足していませんが、高用量・中等量のこどもの約3分の2が満足しています。親は低用量でも高率に満足しており(下図参照)、成長ホルモン治療が、こどもの心理面だけでなく、親の心理の改善にも貢献していることがわかります。

「成長ホルモン治療により、生活の上で変わったことがありますか?」という質問には、こどもの約半数が、治療量にかかわりなく「食欲が増えた」と答えており、成長ホルモン治療が食
欲を増すことを示しております。

約3分の1が、「元気になった」「身長のことが気にならなくなった」「友達からチビといわれなくなった」と答えており、QOLが改善したことを示しています(下図参照)。親も同様の答えをしており、成長ホルモン治療によるQOLの改善を裏付けています。

また44人のSGA性低身長症小児のうち、23人が治療前にいじめをうけていましたが、2年の成長ホルモン治療後に、なんと14人にいじめがなくなっていました。そのうちの12人が身長の改善が良好だった中等量と高用量であったので、身長が伸びたことでいじめがなくなったと考えられました。

これらのデータは、SGA性低身長症小児における成長ホルモン治療も、こどものQOLの大きな改善だけでなく、親の心理社会的問題の解決にも寄与していることがうかがえます。

ポイント

アメリカの調査では、低身長児に対する成長ホルモン治療を行ったところQOLが改善したという報告があります。日本におけるSGA性低身長症における成長ホルモン治療でも同様な結果が出ています。

治療できない低身長もある

低身長は、病気によるもの、病気によらないものに分けられ、病気によるものも、治療できるもの、治療できないものに分けることができます。

現在の保険制度では、病気による低身長しか治療を認めていません(下表参照)。

頻度からいうと、治療できる低身長は、低身長のうちの10%以下です。また、医学的に低身長でなくても、低身長と思っている、思われているこどもはとても多いのです。

すでに述べたように、保険診療による成長ホルモン治療を受けた低身長症児は、心理社会的
問題やQOLが改善しています。しかし、多くの低身長児は保険診療を受けられません。低身
長が病気と認められていないからです。

医療機関を受診する低身長児は、親の評価では、未熟や社会性、他者への攻撃性が見られましたが、教師による評価では、正常小児と差がなかったと報告されています。

このように、心理社会的評価は、評価者が異なると結果も異なり、親がこどもたちを過小評価している可能性も考えられます。

低身長児における心理社会的特性は、本人だけでなく親や友達などとの相互関係のなかで形成されることが多いと考えられています。

親や周囲が低身長児を年齢相当ではなく体格相当に幼児扱いしたり、過保護がちだと、本人も幼児期や小学校低学年までは親に依存したり、マスコット的に適応して未成熟に留まろうとする傾向があります。

しかし、思春期になるとそのような心理社会的状態では周りについていけず、いじめられることなどにより社会的な孤立やひきこもり、抑うつ状態になり、低い自己評価にいたると考えられます。この状態が成人まで持ち越されると、社会生活に対する適応も障害されるといわれています。

親のこどもに対する関わりが、低身長児の心理社会的問題を助長することもあります。低身長のこどもをもつ親の多くは、こどもの低身長に責任を感じています。特に親も小さい場合には、このような罪悪感が、こどもを過保護にしたりして、こどもに好ましくない影響を与えます。

多くのこどもは、4歳ぐらいまでに主に栄養的な問題で低身長になっています。しかし、ミルクを飲まない子、離乳食を食べない子に、無理やり飲ませたり食べさせたりすることはでき
ないので、その子の個性として理解することが必要です。

また、特に親の高身長信仰により、背が高い方が絶対によいのだという考え方をこどもに押しつけると、こどもの個性をつぶしてしまうこともあります。こどもは、背が低いからだめなんだと、皆身長のせいにして、自己逃避してしまいます。

低身長の子供の両親がすべきこと

低身長のお子さんをもつご両親にお願いしたいことは、体格相当ではなく、年齢相当にお子さんを扱うこと、過保護にしないこと、お子さんのよい面を強調してあげることです。

またご両親自信、人は外見ではなく、中身が重要であることを自覚して、お子さんに日常的に話してあげることが必要です。「自分が小さいから、こどもはなんとか大きくしたい」とこどもの前ではいわないでください。逆に親は、自分か低かったけれども、これだけ頑張ってきたんだよといってほしいと思います。

特に、もう背が伸びないとなったときの対応は重要です。それまでに、高身長信仰をこどもに押しつけていると、こどもはなかなか立ち直ることができません。身長が止まったら、この身長でできることをやろうと意識転換することが必要ですが、親が身長の問題を引きずっていると、こどももまだ何とかなるのではないかと、インチキなサプリメントなどに飛びついてしまいます。

外見・身長にとらわれず、自分のこどもそのものを受け入れて、意識転換の手伝いをしてあげられる親になってほしいと思います。

以上述べたことは、あくまで低身長児全体の総括的な話です。当然、個人個人の感じ方は異なります。

すでに述べたように、低身長児の多くは保険診療の対象にはならず、治療ができません。その時の親の反応はいろいろあります。病気じゃなくて良かったというひと、保険治療ができないということで困惑するひと、なんとか治療してもらいたいというひと。

私は、重篤な心理社会的病態におちいっている低身長児は、病気の有無にかかわらず治療する必要があると考えています。しかし、治療すべきかどうかの判断基準が確立されていないので、難しいのです。したがって、最終的には親とこども本人の意志になります。

「成長ホルモン注射の費用と新しい治療法」の章で述べたように、自費診療によりある程度の治療効果が認められる時代になってきました。いろいろな事情で、自費診療でも治療を受けたい人は医者にご相談ください。

ポイント

病気ではない低身長では、保険診療による成長ホルモン治療ができません。その場合には、こどもの精神的ケアが必要となります。親が高身長信仰にとらわれていると、こともに精神的なストレスを与えてトラウマになる危険性があります。

とにかく治療したい場合は早めに受診を

低身長の治療といっても、自費診療による治療ができるのにもタイミングがあります。手遅れになっては何もできません。

特に思春期に伸びていると、皆安心しますが、止まりかけてから心配して來院する人が多いのです。

このような場合、あまり治療効果は期待できません。低身長の場合には、早めに受診して、治療できなくても経過を追ってもらうことが必要です。そうすれば、治療のタイミングを逃すことはありません。

ポイント

思春期に入り、身長の伸びが止まり始めると、治療効果はあまり期待できなくなります。低身長を治療したいという意思があるなら、できるだけ早く専門医に相談することが重要です。

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