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低身長専門外来での治療について


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問診では何を聞かれるの?

ここでは、低身長の訴えを中心に専門外来を訪れた患者さんに対して、医師がどのような診察を行うのかを説明します。

専門医が低身長児を診るときに最初に行うのが、低身長の原因の分析です。

「低身長になる病気と原因」でも説明していますが、ひとくちに低身長といってもその原因はさまざまです。親からの遺伝や染色体異常などの先天的な要因によるもの、脳腫瘍などの重大疾患の副次的作用によるもの、骨の病気など、その種類は幅広く、対処法もさまざまです。

その原因によりホルモン投与による薬物療法が認められている病気、保険診療は認められていないが薬物療法により治療効果のある低身長、すでに治療のタイミングを逸している低身長などに分かれます。

低身長のなかには治療できないものもあります。その場合は悲しいことですが、医師が患者さんに事情を説明しなければなりません。

医師にまず求められるのは、保険診療によるホルモン投与療法が認められている病気(成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、甲状腺機能低下症など)の見極めです。

健康保険が適用される病気のうちで、一番頻度が高いのが成長ホルモン分泌不全性低身長症(成長ホルモンの分泌量がすくないためにおこる低身長)です。したがって、1回の血液検査で診断できる病気をスクリーニングした後に、成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断のための検査を行います。問診では以下のような点について確認します。

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①家族歴

両親の身長や、家族や親戚に低身長の人がいるかどうか(家族性低身長)を聞きます。また、両親の思春期の時期や、母親の初経の時期、中学生の後半から高校生の時期に背が伸びたような経験(思春期遅発症)がなかったかを質問します。

これは、もし親にそのような経験があるなら、現在こどもが低身長であっても思春期後半にはいってから身長がキャッチアップする可能性があるからです。

②出生時・新生児期

こどもの在胎週数、出生体重、出生身長を確認します。それによって、SGA性低身長症(子宮内〈胎内〉発育不全性低身長症:在胎週数相当の発育をしていない場合)であるかどう
かがわかります。

また出生時の骨盤位分娩(いわゆる逆子のことです)、仮死、新生児期の黄疸が長引いた、などの症状があると、典型的な重症成長ホルモン分泌不全性低身長症を起こしやすいため、こうした情報も診断の助けになります。

骨盤位分娩後の典型的な重症成長ホルモン分泌不全性低身長症では、下垂体付近に物理的な力が加わることで下垂体に栄養分を供給している血管が障害され、下垂体機能が低下すると考えられています。MRIでみると下垂体が小さかったり、下垂体に続く組織(下垂体柄)がみえなかったりします。

成長ホルモン以外にも性腺刺激ホルモン(LH、FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)なども障害されることが多く、低年齢より著明な低身長になったり、乳児期に低血糖を起こすこともあります。

最近では、骨盤位の時は帝王切開する例が多くなり、典型的な重症成長ホルモン分泌不全性低身長症は少なくなりました。

③乳幼児期

生まれてから3~4歳までの乳幼児期は、身長の程度が大きく変化する時期です。「子供が低身長になる時期と成長パターン」でも説明しているのですが、この時期の成長は、栄養依存性といわれています。

生まれてから母乳栄養だったか混合栄養だったか、ミルクの飲みがどうだったか、離乳食はいつから開始したか、順調だったか、好き嫌いはないか、食欲はどうだったかを聞きます。

多くの低身長児は、この時期にマイナス2SDを下回ってきており、ミルクの飲みが少なかった、よく吐いた、離乳食をあまり食べなかった、離乳食の開始が遅かった、食事に関心がなかったなどのエピソードが多くきかれ、乳幼児期に十分な栄養が摂れていないことが推測されます。

④慢性疾患の有無、長期投薬の有無

先天性心疾患、アレルギー疾患、腎疾患などの慢性疾患、ステロイドの長期投与などにより、低身長をきたすことがあります。

とくに、アトピー性皮膚炎のために必要以上にミルクや卵などの食事制限をしたり、気管支喘息でのステロイド剤の経口投与は、正常な成長を阻害します。

⑤その他

異常にたくさん水を飲んだり、たくさんおしっこをすることは、糖尿病や尿崩症の症状です。現在の運動の状況や睡眠時間なども聞きます。

ポイント

低身長外来の初診では、低身長の原因を特定するための問診が行われます。

①家族歴

②出生時・新生児期

③乳幼児期

④慢性疾患の有無、長期投薬の有無

などを確認します。

成長曲線で身長と体重をチェックする

ほとんどの低身長専門外来では、初診時に、保護者に母子手帳や幼稚園・保育園での身体測定結果、学校での身体測定結果を持ってきてもらい、身長と体重を成長曲線に記入します。

現在の身長が正常範囲内であっても、成長率が持続的に低いときには、ホルモンに異常がある可能性があります。身長だけではなく、肥満度についても調べる必要があります。

低身長に肥満が重なる場合には、甲状腺機能低下症、プラダー・ウィリ症候群(乳幼児期にからだが柔らかく、抱くとぐにゃぐにゃの感じ、特異的顔貌、3~4歳以降の肥満、精神発達遅滞などの特有な症状を示す病気)、クッシング症候群(副腎皮質ホルモンの分泌が多い病気)、ターナー症候群など特殊な病態である場合があるからです。

肥満度は、次の式で計算できます。

肥満度(%)=(実測体重-標準体重)÷ 標準体重 × 100

身長別標準体重と肥満度%のグラフは下のグラフになります。

乳幼児期は肥満度15%以上、それ以後は肥満度20%以上が肥満と定義されています。やせは乳幼児期マイナス15%以下、それ以後はマイナス10%以下とされています。

ポイント

初診時には成長曲線をひとりひとり描いて、標準成長曲線と比較します。低身長と肥満が重なる場合には、甲状腺機能低下症、プラダー・ウィリ症候群、クッシング症候群、ターナー症候群などの疾患の可能性もあります。

低身長の先天的要因

主に先天的要因によって低身長になったお子さんには、身体(四肢)のバランスが悪い、特有の顔貌、小奇形、肥満など、それぞれの病気に特異的な外見的特徴があります(詳細は下表を参照してください)。

身体のつり合い ●四肢が短い:軟骨無形成症などの骨系統疾患
顔貌 ●円形顔貌
偽性副甲状腺機能低下症:副甲状腺ホルモンの作用不良のため、低身長、低カルシウム血症などを示す病気●満月様顔貌
クッシング症候群●キューピーさん様顔貌
重症成長ホルモン分泌不全性低身長症●クレチン様顔貌
先天性甲状腺機能低下症:生まれたときから甲状腺ホルモンの分泌が少ない病気
小奇形 ●翼状頸:首の後ろの皮膚がたるんでいるためにひだができる

●外反肘:肘から先の腕が外向きになる

●項部被髪部低下:うなじの部分の髪の生え際が低い

●高口蓋:囗の中の天井の部分が高い

●母斑:ほくろが多い

●斜視

●くっきりした目:下まつげが濃い

●眼瞼下垂(上まぶたが下がっている状態など)
:ターナー症候群・ヌーナン症候群

●アーモンド様眼裂・魚様口唇
:プラダー・ウィリ症候群

●第4中手骨短縮(手をにぎると4番目の指の付け根にえくぼができる):ターナー症候群・偽性副甲状腺機能低下症

肥満 ●プラダー・ウィリ症候群

●ターナー症候群

●成長ホルモン分泌不全性低身長症

●クッシング症候群

●甲状腺機能低下症

外傷・皮下出血など ●被虐待児症候群
思春期遅発症 女子12歳以後、男子14歳以後で二次性徴が認められないときは、思春期遅発症か性腺機能低下症が疑われます

診察では、こうした症候がないかを確認して、低身長の原因を診断する参考とします。軟骨無形成症は、通常身長SDスコアがマイナス3SD以下で、手足が短い低身長なので、診断は比較的容易です。骨のレントゲン検査、遺伝子検査で診断できます。

ターナー症候群に特徴的な小奇形がみられる女の子には、染色体検査をします。小奇形とは一般の人にも5%ぐらいの頻度でみられる、医学的・美容上の問題の少ない形態異常です。

ポイント

先天性要因により低身長になった小児には、それぞれの病気に特異的な外見的特徴があるので、早期発見の手がかりになります。

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