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低身長になる病気と原因


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低身長は病気ではない

低身長は病気ではありません。しかし、病気と無関係というわけでもありません。

低身長のお子さんの中には、脳腫瘍やホルモンの分泌異常、骨の病気が原因で身長が伸びない方もいらっしゃいます。一方で、からだには特に異常がないにもかかわらず、身長が伸びない、原因不明の低身長のお子さんもたくさんいます。

低身長の定義は、あくまでも統計学的なものであり、医学的な発生原因についてはまったく考慮していません。

病気であろうがなかろうが、身長SDスコアが「低身長」の基準であるマイナス2SD以下であれば、「低身長」というグループに分類されてしまうのです。

つまり、私たちがひとくちに「低身長」とグループ化しているこどもたちの中には、さまざまな原因の低身長が含まれています。

医学的な治療を行うべきか否か、治療によって改善する可能性があるのかないのか、保険診療が認められるのか認められないのか。

医師が治療を始めるにあたって、個別にお子さんの「低身長」の原因を探し当てる作業が最初に必要になってきます。

ポイント

低身長そのものは病気ではありません。ただし、病気が原因で低身長になることもあります。

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前思春期の成長パターンに注意

3~4歳から思春期が始まるまでの前思春期は、身長の程度(身長SDスコア)の変化が少ない時期です(身長SDスコアについてはこちら)。したがって、この時期の一人一人の成長曲線は、標準成長曲線に平行になるのが普通です。

この時期に、標準成長曲線にそって成長しないときは、要注意です。身長SDスコアが著しく低下した場合は、重症成長ホルモン分泌不全性低身長症に代表される成長ホルモンの分泌異常などが考えられます。

成長ホルモンの分泌異常以外にも、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などのホルモンの分泌異常が考えられます。

このような内分泌系の病気になると単に低身長のみならず、さまざまな障害が発生する可能性があり、多くの場合、専門医による治療が必要になってきます。

ホルモンの分泌異常以外にも脳腫瘍が原因で身長が伸びない場合もあります。その他、ター
ナー症候群(X染色体の1部または1本が欠損し、低身長・性腺機能低下・小奇形など特有な
症状を示す病気)や軟骨無形成症などの特殊な病気が原因となる場合もあります。

低身長を治療するにあたっては、なぜ身長が伸びないのか医学的に原因を特定する必要があります。

ポイント

4歳ごろから思春期が始まるまでの前思春期は身長SDスコアの変化が少ないです。この時期に、標準成長曲線に平行にならないときは、成長ホルモンの分泌異常などの疑いがあります。

低身長の主な原因

低身長の原因にはさまざまなものがあり、次のように大きく分類されます。

①内分泌疾患(ホルモンの分泌異常によるもの)
②染色体異常・奇形症候群
③骨系統疾患
④主要臓器の疾患
⑤SGA(small-for-gestational age:胎内発育不全)性低身長症
⑥心理社会的原因
⑦体質的原因(病気とは考えられないもの)
⑧その他

このうち病気として健康保険の適用対象となるのは①~⑤の原因による低身長です。ただし、適用には厳格な基準があり、①~⑤の病気であっても適用対象外となることもあります。

また、全体の約8割を占める⑦の場合、残念ながら健康保険は適用されず、治療を受ける場合
は自費診療となります。

なじみのない病気も多いと思いますので、それぞれについて簡単に説明します。

①内分泌疾患(ホルモンの分泌異常によるもの)

内分泌とは、内分泌器官で作られるホルモンが直接血液に分泌され、他の器官に作用する現象を指します。

たとえば、下垂体という器官から成長ホルモンが血中に分泌されて、骨の成長板(骨端線)といわれる軟骨層に働いて、骨を大きくして背を伸ばすようなことです。

内分泌疾患とは、何らかの原因でホルモンの分泌量が適正値より少なかったり、反対に過剰だったりする病気を総称したものです。

内分泌疾患には、以下のような病気があります。

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症(成長ホルモンの分泌が少ない病気)
  • 甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの分泌が少ない病気)
  • クッシング症候群(副腎皮質ホルモンの分泌が多い病気)
  • 思春期早発症(思春期が早く始まる病気)

これらの中で、もっとも多いのが成長ホルモン分泌不全性低身長症です。幸いこの病気では、成長ホルモンを補充する治療法が確立されており、成果をあげています。

低身長の医学的な治療法については「低身長専門外来での治療について」をご覧ください。

②染色体異常・奇形症候群

染色体異常とは、ヒトが持つ23対46本の染色体の数が多かったり、少なかったり、あるいはその一部に欠損があるために起きる先天性疾患です。

奇形症候群とは、染色体上にある遺伝子の突然変異あるいは遺伝子の働きの異常により奇形が生じる疾患全般を指します。ただし、遺伝子の異常がすべて明らかになっているわけではありません。

低身長を示す染色体異常・奇形症候群には、下の表に挙げた以外にも非常に多くの病気があります。

染色体異常 ターナー症候群 X染色体の一部または1本が欠損し、低身長・性腺機能低下・小奇形など特有な症状を示す病気
ダウン症候群 21番染色体が3本あり、低身長・特異的顔貌・精神発達遅滞などの特有な症状を示す病気
奇形症候群 ヌーナン症候群 心疾患、低身長、特異的顔貌などの特有な症状を示す病気
ラッセル・シルバー症候群 著明な胎内発育不全、四肢の長さの左右差などの特有な症状を示す病気
プラダー・ウィリ症候群 乳幼児期の筋緊張低下、特異的顔貌、3~4歳以降の肥満、精神発達遅滞などの特有な症状を示す病気

ここでは、染色体異常で発症する代表的先天性疾患として、発生頻度の高いターナー症候群について説明します。

ターナー症候群は、女性の性染色体であるX染色体の異常によって起きるため、女性にだけ起きる疾患です。

背が低い、首の後ろから背中にかけての皮膚がたるんでひだができる(翼状頸)、肘から先の腕が外向きになる(外反肘)、卵巣機能が悪いため、乳房が大きくならない、月経が訪れないなどの症状(性腺機能低下)があります。ただし、症状には個人差が大きく、約40%の患者さんは乳房が大きくなり、約20%は月経が認められます。

しかし月経が起こる患者さんも、閉経の年齢が非常に早い(30歳ごろ)ので、妊娠することは非常にまれです。また身長が正常な患者さんもいるので、ターナー症候群の確定診断を下すには染色体検査を行う必要があります。

したがって、本人に病気の自覚症状がない場合は、一生ターナー症候群であることを知らないまま過ごす可能性もあります。なかなか妊娠しないことを気にして不妊治療の検査をしたときに初めて発見される場合もあるようです。

X染色体が欠損すると、なぜこのような病気になるかは明確ではありませんが、低身長になる原因のひとつとして、X染色体にあるSHOX遺伝子の欠損が考えられています。アメリカの内分泌学者ターナーがこの病気を報告したところから、この病名がつきました。

日本での発生頻度は、女性の約1000人に1人程度といわれています。これは先天的な病気としては発生頻度の高い病気といえます。

ターナー症候群は、染色体の欠損によって起こる先天的な病気なので、この病気そのものを治すことは不可能です。しかし、ターナー症候群が原因で起こるさまざまな症状を治療することは可能です。

③骨系統疾患

骨系統疾患は、骨そのものの異常による低身長です。

代表的なものに、軟骨無形成症(手足が著しく短かくなる四肢短縮型の著明な低身長になる病気)、軟骨低形成症(四肢短縮型の低身長になる病気だが軟骨無形成症よりは軽症)、骨形成不全症(骨がもろくなる病気)などがあげられます。

こうした病気の患者の多くは、手足が短く、身長SDスコアがマイナス3SD以下の著明な低身長を示します。

軟骨無形成症は、線維芽細胞成長因子受容体3の遺伝子異常によることがわかっており、多くの骨系統疾患で、原因遺伝子異常が報告されています。

④主要臓器の疾患

主要臓器の疾患による低身長は、先天性心疾患、若年性関節リウマチ、腎不全や重症の気管支喘息などがあげられます。

低身長になる原因は、疾患ごとに異なりますが、慢性の低酸素血症や慢性の炎症により、免疫反応にかかわるサイトカインというタンパク質に悪影響が出て低身長になるという説や、不十分なカロリー摂取、異常なカロリー消費、治療薬が成長の障害となるという場合などがあります。

⑤SGA(small-for-gestational age:胎内発育不全)性低身長症

SGA性低身長症は、子宮内での発育が悪く、生まれたときの身長・体重が在胎週数の標準的な新生児のそれを下回り、小さいまま育ってしまった低身長です。

以前は病気とは考えられず、体質的原因に分類されていましたが、2008年10月に成長ホルモン治療が認められたので、体質的原因とは別に分類しました。

⑥心理社会的原因

人間関係などによるストレスが原囚でこどもが低身長になることがあります。愛情遮断症候群(親からの愛情が与えられず、ストレスを受けるために生じる)、神経性食思不振症(種々のストレスにより、食欲不振になる病気)などによる低身長がこれらに分類されます。

⑦体質的原因(病気とは考えられないもの)

体質的原因と呼ばれる低身長は、もっとも頻度が高いもので、全体の約80%が該当すると考えられます。

体質的原因による低身長は、さらに家族性低身長と原因の明らかでない特発性低身長に分けられます。家族性低身長と⑤のSGA(胎内発育不全)性低身長症を併発した例もあります。

家族性低身長は、遺伝的要因から身長が低いと考えられるものです。身長には多数の遺伝子が関わっており、まだほとんどの遺伝子は同定されていないので、家族性低身長も親の身長が低い場合にはこどもの身長も低くなるという傾向を表しているにすぎません。

その定義は、はっきりとは決まっていませんが、父親か母親のどちらかまたは両方が、成人身長で身長SDスコアがマイナス2SD以下、すなわち父親が159.2cm以下、母親が147.9cm以下の場合で、こどもがマイナス2SD以下の場合定義しています。

⑧その他

これは、①から⑦には当てはまらない原因の低身長です。ステロイド剤などを投与されて成長障害をきたした場合など、明確な原因がわかっている場合です。

ポイント

低身長になる原因は以下のようなものが考えられます。

①内分泌疾患(ホルモンの分泌異常によるもの)
②染色体異常・奇形症候群
③骨系統疾患
④主要臓器の疾患
⑤SGA(small-for-gestational age:胎内発育不全)性低身長症
⑥心理社会的原因
⑦体質的原因(病気とは考えられないもの)
⑧その他 最も多いのは①で全体の約80%が該当すると考えられている

内分泌代謝外来を受診した低身長のこどもたち

国立成育医療研究センターの内分泌代謝科の外来に、2002年3月から2005年6月までに低身長を主訴として訪れた患者さんは、807人(男子499名、女子308名)いました。

年齢分布は、下の図に示すように男子は4~5歳と10~14歳が多く、女子は4~5歳と9~11歳にピークが見られました。いずれにせよ小学校に入る前や思春期開始年齢前後に外来を受診する傾向が見られましたが、20歳を過ぎて受診する人もいました。

初診時に骨年齢、成長率、思春期の成熟度などで評価して、すでに成人身長に達していた人は807人中95人もいました。成人身長は、もう成長が止まって最終身長に達したと考えられる身長です。

外性器の成熟が成人に達し、骨年齢がほぽ成人に達し、年間成長率が1cm以下の場合は、もうほとんど成長が期待できないので、成人身長と考えます。

骨年齢は、左手と手首のレントゲン写真で、骨の成熟度をみるもので、成長の指標になります(骨の成熟度からの成長の指標はここを参照してください)。男子で骨年齢16.1歳、女子で11.7歳になると、成人と定義されます。年齢と身長の分布を、それぞれ下の図に示しました。

 

すでに成人身長に達していた人の内訳は、男子は13歳3ヵ月~23歳(平均15.9歳)で身長は139~166.9cm(平均156.8cm、マイナス2.42SD)に分布し、155~160cmの人が一番多くみられました。

女子は11歳3ヵ月~17歳11ヵ月(平均14.5歳)で身長は132.2~153cm(平均144.0cm、マイナス2.66SD) で、145~150cmの人が、もっとも多くみられました。

みなさん、まだ伸びるだろうという希望をもって外来を受診されているのですが、男子で13~15歳、女子で11~13歳というまだ若い年齢でも成人身長になっているケースが相当数ありました。

こうしたケースでは、明らかに思春期が早く始まったと思われます。成人身長に達している場合、どのような内科的治療を行っても背を伸ばすことはできません。

ポイント

低身長専門外来を訪れる患者さん人の中には、平均より早く思春期が始まり、すでに成人身長に達しているケースが少なくありません。成人身長に達してしまえば、そこからどんな内科的治療を行っても身長を伸ばすことはできないのです。

低身長になる原因の割合

国立成育医療研究センター内分泌代謝科の外来を受診した低身長の人の807人の患者のうち、95人は初診時点ですでに成人身長と判断されました。

この95人のうち、成人身長がマイナス2SD以下、すなわち低身長グループ(70人)で胎内発育不全だった人の割合が25.7%と高く、成人身長がマイナス2SDを上回っていた正常身長グループの胎内発育不全の割合4%と比較しても約6倍と高いことが特徴でした。

初診時点で成人身長に達していた95人を除いた712人(男子434人、女子278人)のなかでマイナス2SD以下の低身長は400人(約56%)で、初診時の平均年齢は7歳10ヵ月でした。

その400人の低身長になった原因を分析した結果を下の図に示します。

一番多いのは、内分泌学的にも異常がなく、病気ではない体質的原囚と考えられる特発性低身長・家族性低身長で63.5%を占めました。

これにSGA性低身長症を含めると72%に達します。これに続くのが内分泌疾患です。なかでも成長ホルモン分泌不全性低身長症の頻度は14.5%と高いのですが、それは、国立成育医療研究センターが専門病院で重症の患者さんが集まっているためと考えられます。

日本で成長ホルモン治療が開始された1975年から1995年までは、治療された患者さんはほぼ100%、財団法人成長科学協会に登録されていました。登録された患者さんの出生年とその年の年間出生数の比較から成長ホルモン分泌不全性低身長症の発症頻度は低身長の原因のうちの5%以下と計算されています。

成長ホルモン分泌不全性低身長症以外の病気としては、ターナー症候群やヌーナン症候群などの染色体異常・奇形症候群などが、おもな低身長の原因でした。

一般頻度としては、成長ホルモン分泌不全性低身長症は低身長のうちの5%以下しかなく、最も多いのは特発性低身長・家族性低身長で、SGA性低身長症を加えると8割を超えると思われます。

ポイント

成長ホルモン分泌不全性低身長症の発症頻度は低身長の原因のうちの5%以下、最も多いのは内分泌学的にも異常がなく、病気ではない体質的原因と考えられる特発性低身長・家族性低身長で、SGA(胎内発育不全)性低身長症を含めると全体の8割を超えます。

低身長に対する成長ホルモン治療

低身長に対する治療には、ホルモン治療や、病気特異性の治療があります。

ホルモン治療の例は、成長ホルモン分泌不全性低身長症ならば成長ホルモン治療、甲状腺機能低下症ならば甲状腺ホルモン治療、思春期早発症ならばLHRHアナログ(黄体化ホルモン放出ホルモン誘導体)治療のように、過不足が生じているホルモンを調節する治療法です。

これに対して、病気特異性治療は、低身長の原因となっている病気そのものを治療する方法です。

たとえば気管支喘息や心疾患のために成長障害をきたしている場合は、それぞれの病気の治療を行います。

現在、乳幼児期前思春期の多くの低身長に対して効果のある治療法は、成長ホルモン治療だけしかありません。しかし保険診療による成長ホルモンの投薬治療が認められている疾患は、成長ホルモン分泌不全性低身長症、ターナー症候群、小児慢性腎不全による低身長症、軟骨無形成症、軟骨低形成症、プラダー・ウィリ症候群、SGA性低身長症だけです。

これら成長ホルモン治療が受けられる低身長は、低身長全体の5~10%ぐらいと考えられています。低身長の大部分を占める体質性低身長は、日本では病気と認められていないので、保険診療を受けることができません。

家族性低身長や特発性低身長に対しても成長ホルモン治療の効果があることは、欧米から多く報告されており、実際にアメリカでは身長SDスコアがマイナス2.25SD以下の特発性低身長に対しては、成長ホルモン治療が認められています。

ポイント

低身長に対する治療は、ホルモン治療と病気特異性の治療に大別されます。ホルモン治療は過不足が生じているホルモンを調節する治療法であるのに対して、病気特異性の治療は低身長の原因となっている病気そのものを治療する方法です。

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